検収、システム仕様の確定

成果物の検収は、検収仕様書に則って行われます。

検収にあたっては、委託者(ユーザー)の注文した仕様どおりであるかを検査します。

1.検収と報酬請求権

受託者(ベンダー)の報酬請求権は、遅くとも、納品後、検収完了時点で発生します。

検収後にバグが発見された場合、委託者(ユーザー)が報酬の支払いを拒むことがあります。

この場合、ソフトウェア・システムの完成時点がいつであるかが争点となります。

検収仕様書に則った検収が完了した後であれば、瑕疵担保責任の追及は別として、報酬請求権の発生に必要な仕事の完成は通常認められます。

2.検収と瑕疵担保責任

検収完了後に発見された瑕疵は、一般的に、受託者(ベンダー)の責任で補修します。

これを受託者(ベンダー)の瑕疵担保責任と呼びます。

しかし、長期間、瑕疵担保責任追及の可能性が残るままでは、受託者(ベンダー)にとって不都合です。そのため、民法上、引渡し後1年、商法上、6ヶ月と定められています。

これらの期間は、契約上さらに短縮することが可能です。

3.その他、瑕疵担保責任に関するトラブルの予防

受託者(ベンダー)としては、瑕疵担保責任の追及が可能な期間を契約上3ヶ月程度として、瑕疵担保責任追及の可能性を軽減させるべきです。

また、瑕疵の内容について、自己の責任に基づくものに限定すべきです。

加えて、各工程(基本設計、詳細設計・制作、テスト)に応じて、逐一検収を行う、分割検収の方法も検討すべきです。

委託者(ユーザー)としては各工程に応じて段階的に検収を行うことができ、受託者(ベンダー)としては各工程に応じて報酬を受領することができるので、検収完了後の瑕疵担保責任に関するトラブルを予防できます。

まとめ

ソフトウェア・システム開発委託においては、受託者(ベンダー)からの提案、細部調整を経て、システム仕様書が作成されます。

システム仕様書の作成にあたって、委託者(ユーザー)と受託者(ベンダー)の協力が必要不可欠となりますので、必要な情報を共有する場を設けます。

後のトラブルを予防するため、委託者(ユーザー)と受託者(ベンダー)間の情報共有にあたって議事録を作成し、システム仕様書に対する委託者(ユーザー)の承認を、契約書上反映させることが重要です。