IT・EC法務

使用許諾条件の整備



ソフトウェアライセンス契約において、ライセンサとユーザー間で、個別に使用許諾条件を定める場合の他、汎用性の高いソフトウェアの場合、ライセンサが定めた一律の使用許諾条件をユーザーが承諾する形式とする必要があります。ライセンサは、一律の使用許諾条件を整備します。

一律の使用許諾条件を定めるにあたって、以下の事情に留意する必要があります。


ユーザーの使用権の範囲・内容


ライセンス数/PC端末数を定め、抑制を図ります。


譲渡・再許諾の禁止



使用目的の制限


使用許諾であることを明記します。利用行為は、著作権法上禁止される場合がありますが(著作権法23条等)、使用許諾条件上も利用行為を禁止することで、抑止効果が期待できます。


対価


税込みか否か、振込手数料を含め、ライセンス料の計算方法を定めます。また、支払方法についても、年一括前払い、毎月前払い等の条件を定めます。


保守サービス


ユーザーに対して、不具合の場合の問合せ窓口を明記します。


禁止行為


① ライセンサの事前の同意

ユーザーの各行為を、ライセンサの事前の同意が必要なものと定めます。


② 複製、翻訳

保守サービスを、別途有償のシステム保守委託契約として締結する場合は、複製、翻訳を、可能な限り制限するべきでしょう。


③ リバースエンジニアリングの禁止

リバースエンジニアリングは、製品を解体、分解して、仕組みや構成を分析することをいいます。ソフトウェアの場合、機械語で記述されたプログラムを、ソースコードに戻す、逆コンパイルが行われます。リバースエンジニアリングの過程でなされる複製は、著作権法上許容され得るで、使用許諾条件にて明確に禁止します。


④ 他のソフトウェアへの組込みの禁止



⑤ 知的財産権表示の削除、改変の禁止


著作権法上許容される利用行為(バックアップのための複製、ハードディスクへのインストール)にあたっても、知的財産権表示の削除や改変を禁止して、他の禁止される利用行為(多数の人にソフトウェアを提供すること、二次創作物の利用など)への発展を未然に防ぎます。



監査について


ユーザーの禁止行為、不正使用を探知するため、ライセンサによる監査の規定を定めます。
①監査権
②ユーザーの協力義務
③監査費用
④損害賠償額の予定

ユーザーの使用許諾条件違反による実損害を個別に算出することは困難であるため、ライセンス料の2倍~3倍を目安に、損害賠償額を予定します。



知的財産権


① ライセンサへの知的財産権の帰属


ソフトウェア・システム開発委託契約において、知的財産権(特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権)は一義的に受託者(ベンダー、エンジニア)に帰属します。
そのため、受託者(ベンダー、エンジニア)からユーザーに対する知的財産権侵害の追及を想定して、ソフトウェアライセンス契約において、ライセンサは、ユーザーに対し、ソフトウェアの知的財産権のライセンサへの帰属、第三者の知的財産権を侵害しないことを保証します。


② ライセンサへの通知義務


受託者(ベンダー、エンジニア)からユーザーに対する知的財産権侵害の追及がなされた場合、ユーザーにその旨通知する義務があること定めます。知的財産権侵害の追及に対しては、ライセンサが当事者となり対応します。


③ ライセンサの損害賠償責任


仮にユーザーが、第三者に対し、知的財産権侵害にかかる損害賠償債務を負担する場合、当該債務はライセンサが負担します。もっとも、当該債務が、ユーザーの禁止行為等、ユーザーの責めに帰すべき行為によって生じた損害賠償債務である場合、ライセンサは責任を負わないことを明記します。


④ ライセンサからユーザーへの代替措置止


ライセンサの責めに帰すべき事由によって、ユーザーのソフトウェアの使用が不可能となった場合、知的財産権侵害のない他のソフトウェアの提供や、侵害部分の変更等の措置を講じることを定めます。



動作保証・非保証


ソフトウェアの動作環境に応じて、動作保証の範囲を明確化します。
さらに、ソフトウェアに存在する一切の不具合につき非保証とする場合、「現状有姿で提供し、ソフトウェアに関する瑕疵について、何ら責任を負わない。」と定めます。


契約終了時の規定


終了原因ごとにユーザーの負担する義務を定めます。


① 期間満了による終了


ユーザーは法律上当然に消去義務を負担するわけではありませんので、使用中止義務のみならす、消去義務を規定します。


② 解除による終了


解除による終了の場合、ライセンサ及びユーザーは、契約前の状態に戻さなければならず(民法545条1項)、ユーザーは法律上当然に使用中止義務及び消去義務を負担します。使用許諾条件に消去義務を明記することで、使用許諾条件違反行為を抑止する効果も期待できます。



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