ハラスメント

「ハラスメント」とは、「嫌がらせ」という意味の英語です。
職場内の力関係を利用したいじめであるパワーハラスメント(パワハラ)や、性的嫌がらせであるセクシュアルハラスメント(セクハラ)は、近年多く聞かれるようになりました。
その問題意識は年々強くなり、セクハラについては、男女雇用機会均等法で、労働者が性的な言動による不利益を受けることのないように、使用者は必要な措置を講ずるべき義務を課されるようになりました。
どのようなことがハラスメントに該当するのか。
そして、どのように予防し、どのように対応すべきなのか。
使用者として十分な検討と対策を設けることが必要となります。

パワハラ(パワーハラスメント)

パワハラは、職場内での優位性(地位や人間関係等)を背景として、
業務の適正な範囲を超えて、
精神的・身体的な苦痛を与える行為又は職場環境を悪化させる行為、
又は
職場環境を悪化させる行為
のことをいいます。

厚生労働省では、これまで実際の訴訟で問題となったパワハラについて、6つの類型に分類しています。
もっとも、すべてをこれら類型に当てはめることができるものではなく、複合的なものもあります。


① 身体的な攻撃

例)殴る、蹴る、丸めた資料で殴打する、資料を顔面付近へ投げつける


② 精神的な攻撃

例)罵倒、長時間の叱責、能力に対する侮辱(「使えない」「給料泥棒」など)


③ 人間関係からの切り離し

例)無視、隔離、仲間はずし(メーリングリストからの削除、職場全体の飲み会へ呼ばないなど)


④ 過大な要求

例)終業時間間際に翌日朝までを期限とした仕事を割り振る、職務経験からすると到達不可能なノルマを課す


⑤ 過小な要求

例)新人というわけではないのにお茶酌みやコピー取りだけしかやらせない、仕事を与えない


⑥ 個の侵害

例)業務時間外の長時間電話の強制、恋人の有無をしつこく聞く


特に、注意をすべきは、仮に労働者側にも要因があったとしても、度を越えた叱責はパワハラになりうることです。
たとえば、東京地判平成24年11月30日は、店長が従業員に暴言を吐いた事案において、当該従業員が「他者の話を聞かずに自己の要望を言い連ねて押し問答を仕掛けたり、職場でトラブルを起こして各位の顰蹙を買ったりすることを頻発する」人物であったと認定しながらも、暴言を吐くことが正当化されるわけではないと判断しています。

熱の入った指導をする中で、つい言葉が強くなったりすることもあるかと思いますが、冷静に行う必要があります。


セクハラ(セクシャルハラスメント)

セクハラは、性的な嫌がらせのことで、男性から女性に対して行われるイメージが強いかもしれませんが、女性から男性に対しても、同性同士でも成立します。
セクハラは、大きく2つの類型に分けることができます。


① 対価型セクハラ

労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応(拒否や抵抗等)により、当該労働者が解雇、降格、言及等(その他、労働契約の更新拒否、昇進・昇格の対象からの除外、客観的に見て不利益な配置転換等)の不利益扱いを受けるなどの行為

例)性的な関係をもつことを、昇給の条件にされる。
飲み会の席で抱きつかれたのを解いたら、降格される。


② 環境型セクハラ

労働者の意に反する性的な言動により労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な影響が生じる等、当該労働者が終業する上で感化できない程度の支障を生じさせるなどの行為
例)わいせつな雑誌やWEBサイトを他人の目に付く場所で見る。
性的に不快な話題を振ってくる。


また、医療機関では職員以外に、出入り業者や患者さんたちが多く存在します。
これら、外部の者が行った場合、直ちに使用者の責任になるものではありませんが、そのようなことがあるにもかかわらず何も対策をせずに放置をしていた場合には、使用者にセクハラに適切な対応をしなかったという責任が生じることがあります。


予防と事後対策

もしも問題が発生した場合に適切に対処することは非常に重要です。
しかし、いざ問題が発生してからそれに対処しようとするのと、事前に予防策を講じておくのとを比べると、はるかに後者の方がコストも労力も少なくできます。
そのため、予防と事後対策を車の両輪のようにセットで充実させていくことが何よりも大切です。


予防策

・マニュアル類の整備
・啓蒙・教育
・相談窓口の設置


事後対策

・事実関係の調査
・処分の適用

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