退職

退職とは、雇用契約が終了する類型のうちのひとつです。
退職の場合、解雇とは異なり、雇用契約の終了について双方の意思が合致している場面が多いですが、留意すべき点もあります。


退職の種類


① 自己都合退職(辞職)

労働者側からの意思表示によって、労働契約が終了する類型です。
一般には労働者側から退職届を提出することにより成立します。
労働者からの申入れの内容によっては、③の合意退職との区別がつきづらい場合があります。


② 当然退職

労使間の労働契約上、予め退職事由の合意がなされており、その事由に該当した場合に退職となる類型です。
たとえば、定年による退職や、有期契約の期間満了、労働者の死亡などがあります。


③ 合意退職

労使間で、労働契約を終了させる合意を行う類型です。
労働者側から「退職願」などの退職の申込みをする場合と、使用者側から「退職勧奨」などの退職を促す場合があります。
人員整理の前段階として、退職者を広く募る場合にも合意退職となります。


突然の自己都合退職を受けないために

民法上、労働者はいつでも労働契約の解約の申し入れをすることができます。
そして、解約の申し入れから2週間を経過した時点で、労働契約は終了します。
これは、合意退職とは異なるため、使用者側との合意を要しません。
もっとも、完全月給制や年俸制の場合には少々異なります。
完全月給制の場合には、給料の算定期間の前半にした場合、次期の解約申し入れができます。
つまり、たとえば1月15日までに解約の申し入れがなされた場合には、1月末で退職となりますが、たとえば1月16日以後に解約の申し入れがなされた場合には、2月末での退職となります。
年俸制など、6ヶ月以上の期間で報酬を定めている場合には、より長く、退職予定月の3ヶ月前までに退職の申し入れがなされなければなりません。

しかし、いずれにせよ、自己都合退職は労働者側からの意思表示によってなされ得るという点で、使用者側は不測の人員不足に陥る可能性があります。
とりわけ、医療法人においては、人員配置基準がありますし、小規模の診療所等では人員不足で容易に休診に追い込まれてしまいます。
そのため、突然の自己都合退職が発生しないように、一層の配慮が必要となります。


① 就業規則

ひとつには、就業規則に
「退職の申出をする場合は、少なくとも30日前に申出し、後任者に業務の引継ぎを行うこと」
等の規定をおいておくことが考えられます。
このような規定を置いておくことで、職員に退職まで日程を要することを伝えて置けます。 もっとも、このような定めは、民法の規定を加重するものであり、紛争が生じた場合に必ず認められるとは限りません。
しかし、あらかじめ就業規則に定めをおくことで、そもそも紛争が生じづらい体制を整えておくことができます。


② 対話や調整の努力をする

仮に従業員からの退職の希望が出されたとしても、業務の引継ぎや後任者の選定、配置の調整などが必要であることから、一定期間の慰留をすることは珍しくありません。
一般に、「退職届」は労働契約の解約の申出とされていますが、似た名称である「退職願」は合意解約の申入れと解釈されます。
そのため、「退職願」が出された場合には、退職についての条件について、労使間で対話を行い、合意を形成することが求められます。
また、退職届であったとしても、実際に生じる影響等を丁寧に説明し、退職時期の延期等の交渉を持ちかけることで、調整を図ることも考えられます。


退職金

退職金は、退職時に支払う金員の総称ですが、これについて労働基準法上の定めはありませんので、退職金制度を設けるかどうかは使用者側の自由です。
もっとも、退職金制度を設ける場合には、就業規則などにおいて定めておく必要があります。
そして、定めたとすれば、この規則に則った支払いを行っていく必要があります。
すなわち、規則上は支払いを要する退職者に対して支払わない場合や、規則の定めを超えた金額を支払うような場合は、紛争が生じます。

現在は、各種の年金制度や共済制度などが豊富にあるため、使用者側に適した制度を利用することをお勧めします。


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