インフォームドコンセントを巡るトラブルと対策

「インフォームドコンセント」という言葉が浸透して久しいですが、日本語では「説明と同意」と訳されることが多いです。
患者さんには、自身の情報を知る権利、そして知った上で行動を選択・決定する権利があります。
しかし、提供される説明は、どの範囲まで行うべきなのか、傷病の内容によっては合えて説明しない方がいいとされる場合もあるのではないか、などという問題があります。


前提となる説明責任


医師は、その診療契約の内容として、適切な説明をする責任があります。
この点、どの程度の説明を要するかについては、具体的事案によりますが、指針としては厚生労働省の「診療情報の提供等に関する指針」が参考になります。
これによれば、


・現在の症状および診断病名
・予後
・処置および治療の方針
・処方する薬剤の名称、服用方法、効能および特に注意を要する副作用
・代替的治療法がある場合にはその内容および利害得失(費用が大きく異なる場合には、それぞれの場合の費用を含む。)
・手術や侵襲的な検査を行う場合には、その概要(執刀者および助手の氏名を含む。)、危険性、実施しない場合の危険性および合併症の有無
・治療目的以外に、臨床試験や研究などの他の目的も有する場合には、その旨及び目的の内容

といった事項を、丁寧に説明することが求められています。 また、患者が未成年者で判断能力がない場合には、その親権者に対して説明する必要があります。


問題となりやすい事項

上記の説明事項のなかで、問題となりやすいのは、
・治療の方針
・薬剤の効能及び副作用
・代替的治療法の有無や利害得失
についての説明が十分でない、というものです。
特に、代替的治療法については、インターネットが発達した現在は、容易に患者さんは自身の傷病について検索することができてしまいます。
「○○病院では××という治療方法が受けられたらしいけど、この病院では説明されなかった」
「私の怪我には□□という方法が有効と△△に書いてあった」
などというクレームは容易に想定できます。
仮に、治療方針としては間違っていなかったとしても、「説明を受けていない」という部分で患者さんとの間で溝ができてしまう可能性は高まります。
最先端医療における代替的治療法までを説明する必要はありませんが、現在の通常の医療水準に基づいて合理的に考えられる方法は、最低限説明しておく必要があります。


適切に行ったことを記録化することが大切

インフォームドコンセントは、適切な説明を行ったうえで、同意を得たというプロセスが重要になります。
そのため、説明を行ったことのみならずその内容についても、カルテ等に記載して残しておくことが大切です。
また、患者さんから同意を得るにあたっても、後々問題が発生する可能性が高いもの(治療に大きなリスクを伴うものなど)については、同意書を作成してもらうように心がけるべきです。


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